亜鉛はすべての細胞に含まれており、とくに骨に多く、体内に2〜14gくらい存在しています。細胞の形成に不可欠で、新陳代謝には大きな役割を担っています。
例えば、皮膚の細胞を作るのに必要で、切り傷がふさがるときにも亜鉛が働きます。
舌の細胞は10日くらいで入れ替わりますが、亜鉛が欠乏すると細胞の新陳代謝がうまくいかず、味覚障害が起こることが知られています。
また、免疫細胞も亜鉛と亜鉛が含まれる酵素によって作られ、傷口から感染した細菌を含め、からだの中の異物と闘うのです。
ほかにも酵素の成分として、DNAやタンパク質の合成、糖の代謝、インスリンの合成などにかかわり、微量ながら、どこにでも顔を出すミネラルといえます。
精子や前立腺にも多く含まれ、とくに精子の尾ができるのに亜鉛が必要で、生殖にも欠かせないのです。
不足すると先述の味覚障害のほか、成長障害、貧血、皮膚炎、性機能低下、うつ、免疫力の低下などが起こります。
通常は過剰になる心配はありませんが、サプリメントで大量に摂っている人は注意を。過剰になると急性中毒や膵臓の機能低下が起こります。また亜鉛を多く摂ると銅の吸収が減ることがあります。
魚介類、肉類、玄米のような未精製の穀類、豆類、海藻類、野菜、ナッツなどに多く含まれています。とくに、カキやカニ、ウナギには豊富です。カキは、1つ食べれば1日の必要量を軽くクリアすることができます。
タンパク質と一緒に摂ると吸収が促進される一方、アルコールは亜鉛の排せつを進めます。抗生剤のペニシリンや利尿薬を飲んでいる人も吸収が下がります。
ほとんどの加工食品に含まれるポリリン酸などの食品添加物は亜鉛を体内から排せつします。また、食物繊維も亜鉛の吸収を抑えるので、食物繊維を多く摂る人やベジタリアンは亜鉛を多めに摂るようにしましょう。ビタミンB6の血中濃度が低い場合には吸収が下がることもわかっています。
18〜69歳の男性は9mg、女性は7mgが摂取の推奨量で、上限は30mgです。妊娠中・授乳中の女性はさらに3mgが必要です。成長期にも不足しないように気をつけたいものです。
「ナマコを最初に食べた人は勇気がいっただろう」とよく言われますが、ナマコは古くから神様への供え物にされ、食用にもされてきました。『古事記』にも記述があることが知られています。
表面のいぼ状の突起から、ウニやヒトデと同じ棘皮動物に分類されます。沿岸の砂底や岩礁がすみかで、日本では内湾でよく獲れます。
ナマコは漢字で「海鼠」と書きます。これは夜になると海底を動き回るネズミに似た生き物というところから来ているようです。英語では“sea cucumber”で、「海のきゅうり」というのもおもしろいですね。
日本で食用にされているものは主にマナマコで、暗い色のアオナマコ、黒いクロナマコ、赤みのあるアカナマコが代表的です。いずれも20〜30cmの体長です。
旬は晩秋から2月くらいで、「冬至ナマコ」と呼ばれるくらい冬には味がよくなります。
晩春から初夏に夜間に産卵し、休眠して、また秋から動き始めます。雌雄が別になっていますが、外見からは区別できません。生殖器は口の後ろの背中側にあります。
円筒形のからだの一方は触手に囲まれた口で、反対側は肛門です。泥砂を口から取り込み、小さな甲殻類や魚卵、ケイ藻類などの有機物のみを消化して、残りを肛門から出します。おなか側には管足が3列に並び、背中や側面にも足状の突起があります。歩くのは速くても1分間に10cmまでくらいといわれています。
軟らかなからだには実は小さな骨がありますが、たいていは微小で肉眼では見えません。
ナマコの肛門は中が広く、ナマコマルガザミ(甲殻類の一種)やカクレウオなどがすみ、ナマコのふんをエサとしていることがあるといいますから、おもしろいですね。
魚に襲われるなど危険な場面では白いネバネバした糸状のものを出し、それによって魚はエラをふさがれて死んでしまいます。さらには、内臓を肛門から吐き出すこともあるそうです。内臓を出してペタンコになったナマコはしばらくすると再生します。
からだを硬くしたり、軟らかくしたりすることでも身を守ります。からだを軟らかくして岩の間に隠れ、そこで身を硬くすると、敵から引っ張り出されることもありません。
水分がほとんどでエネルギー量が低く、残念ながら栄養分は期待できません。ナマコそのものの味というよりは、コリコリとした歯ざわりを楽しみましょう。
生で食べるときには、生きているものを。動いていなければ、体表の色がはっきりしていて、イボがしっかりし、皮にはりがあるものを選びます。新鮮なものは切ると縮みます。一方、古くなると表面が溶けたようになります。
よく水洗いして、口と肛門を切り取り、肛門側を下にして持つと、わたが落ちます。おはしにふきんを巻いたもので中のわたの残りを水で流しながら掃除すればOK。あるいは塩もみした後にざるに入れて塩をかけ、ざるをよく振って身を引き締めてから切り、内臓を取り除きます。
刺し身、二杯酢や三杯酢での酢の物がおいしいですね。中華料理では、干しナマコをもどしてスープや煮物にも使います。
ナマコが吐き出した内臓を塩辛にしたものがコノワタ、細い糸状の卵巣がコノコ(ナマコの子の意味)で、お酒好きにはたまらない珍味です。コノコは生で食べる場合と干したものがあります。いずれも1匹から少量しか取れないのですから、高価なのもうなずけますね。











