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vol.085 健康編 病気・症状 とくに小さい子どもとお年寄りは悪化しやすいので注意を!ノロウイルス(2)
抗ウイルス薬が未開発のため対処療法で対応を

今回はノロウイルスによる感染性胃腸炎の治療と予防を取り上げます。

前回述べたように、ノロウイルスに感染してから症状が出るまでの潜伏期間は1〜2日で、主な症状は吐き気や嘔吐、腹痛、下痢、発熱です。これらの症状は1〜2日で治りますが、とくに小さい子どもとお年寄りは悪化しやすいので注意しなければなりません。

毎年必ず流行するノロウイルスですが、まだワクチンやウイルスの増殖を抑制する抗ウイルス薬は開発されていません。診断キットが普及しているため、医療機関での診断は比較的容易(ただし医療保険は使えません)ですが、治療は解熱鎮痛薬や整腸薬、栄養や水分の点滴といった対症療法しかないのです。下痢止めはウイルスを体内に留めることになるので、処方されません。

家で休むときには、手作りの生理食塩水(水100mlに食塩0.9gを溶かした0.9%の食塩水)やスポーツドリンクを人肌程度に温めて、こまめに飲むようにします。

衛生に気を付け、食品はなるべく加熱を

ノロウイルスの感染源は、生で、あるいは加熱が不十分なまま食べた二枚貝(かき、あさり、しじみなど)、汚染された水、患者との接触で、便や吐瀉物の始末をするときにも感染しやすいのです。

ウイルスは冷蔵しても死滅しませんが、熱を加えると死滅します。ウイルスに汚染されている可能性のある二枚貝などは、中心部までよく加熱してから食べます。中心温度が85度以上になる状態で1分間以上加熱すれば、感染しなくなるといわれています。

かきの「生食用」「加熱用」がありますが、細菌の量によって決められているので、ウイルスの有無については調べられていません。また、新鮮であるかどうかもウイルスの有無には関係ありません。ですから、二枚貝はやはり加熱して食べるほうが安全です。

ふだんから石けんを使い、流水で手を洗うのを習慣にしましょう。とくにトイレの後、調理前は丁寧に。調理を担当する人はなおさらです。体調が悪い人とはタオルの共用を避けます。

調理器具を衛生的に保つことも重要です。生がきなど二枚貝を扱った包丁やまな板、食器を、そのままほかの食材の調理に使わないこと。調理器具の消毒に一般に使われる逆性石けん(塩化ベンザルコニウム)、消毒用エタノールは効果がありません。よく洗い流すことが一番、そして消毒は塩素系漂白剤を使います。

強い感染力のため、十分な注意が必要

ノロウイルスによる感染性胃腸炎が疑われるとき、吐瀉物や便の始末には注意が必要です。まずマスクとビニール手袋をつけ、ビニール袋、そしてティッシュや古いタオルなど捨てられる紙や布を大量に用意します。そして、吐瀉物や便をこすって拡げないように気をつけ、真ん中に寄せるようにして取り除きます。ティッシュやタオルはビニール袋に入れて密封して捨てます。もし服が汚れたら、洗濯する前に消毒を。それが無理な場合は洗濯しようと思わず、捨てるほうが無難です。

その後、説明書通りに薄めた塩素系漂白剤をスプレーで噴霧するか、不要になったスプーンなどで振りかけて消毒します。塩素系漂白剤はそのままかけたり、熱湯で薄めたりしても効果が高くなるわけではありません。

また、規定通り薄めた塩素系漂白剤で、トイレや蛇口、ドアノブ、手すりなども拭いておきます。消毒を終えたら、よく手洗いを。

症状が出ている間はもちろん、また症状が治まってからも1週間から10日間は便にウイルスが出ているので、本人も周囲の人もやはり手洗いとうがいは欠かさないことです。また、学校や職場に行く前にしっかりと休むことも大切です。

食材編 穀類・豆類 黒豆 黒豆の黒い色はアントシアニンで、ポリフェノールの一種です。
お正月料理に欠かせない一品

三が日には黒豆(黒大豆)の煮物を召し上がりましたか?

おせち料理の中でも黒豆の煮物はかずのこ、田作りとともに重要で、この3つは祝い肴三種と呼ばれ、お屠蘇(おとそ)の肴として欠かせません。お餅を加えれば、これだけでお祝いの用意になるとされ、重箱の一番上になる壱の重に詰められます。

黒豆には「マメに暮らせるように、働けるように」と掛け言葉になっています。マメは健康、丈夫、まじめといった意味で、お正月に黒豆を食べるのには健康や長寿を願う気持ちが込められています。

黒豆の煮物の味つけは関東と関西で違うようです。関西ではたっぷりの甘い煮汁で煮て、ふっくらと仕上げますが、関東ではしょうゆを加えた甘辛い味つけにし、豆の表面にしわがよっています。

黒豆の黒い色はアントシアニンで、ポリフェノールの一種です。アントシアニンは鉄と結合することで、さらに深くつやのある黒になります。そのため、昔から古い鉄くぎを入れて煮ていました。今では鉄玉という調理器具が替わりに使われることもあります。

巻き貝のような形をした「ちょろぎ」を入れることもありますね。ちょろぎはシソ科の植物の地下茎で、「長老木」や「千代呂木」と書き、やはり長寿を願ってのことです。

上手に調理し、摂取しましょう

代表的な品種は、兵庫県原産の「丹波黒」と北海道原産の「中生光黒」です。なるべく大きく、粒が揃っているもの、皮が破れていないものを選びましょう。

乾いた豆は湿気のない冷暗所に保存します。煮豆は豆が浸かるように煮汁ごと密閉容器に入れて冷蔵庫へ。

75号でご紹介したように、大豆には黄、黒、青(緑)、赤、茶と色の違いがあり、江戸時代には、黒豆は薬用とされていました。

タンパク質、ビタミンB1、B2、カルシウム、亜鉛、食物繊維、レシチン、サポニン、イソフラボンといった栄養成分にアントシアニンが加わっているため、健康食品のイメージがあります。最近は黒豆の枝豆も出回るようになりました。黒豆豆腐、黒豆ココアや黒豆コーヒーなど加工品もバラエティに富んでいますね。

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