ノロウイルスによる感染性胃腸炎が大流行しています。今回から2回にわたってこのテーマを取り上げます。
ノロウイルスは比較的耳新しい言葉かもしれません。このウイルスは1968年にアメリカ・オハイオ州ノーウォークの小学校での集団感染から発見され、かつては小型球形ウイルス、あるいはノーウォーク様(よう)ウイルスと呼ばれていました。2002年夏に国際ウイルス命名委員会によってノロウイルスと呼ぶことが決定され、2003年に日本の食品衛生法も改正されて、正式なウイルス名として使われるようになりました。
電子顕微鏡で見ると、表面に32個のくぼんだ構造があるのが特徴です。
ノロウイルスは増殖力が強く、数個から100個くらいと少量でも感染します。
潜伏期間は1〜2日で、吐き気や嘔吐、下痢のほか、腹痛、発熱、悪寒、頭痛、筋肉痛、のどの痛みといった風邪に似た症状を引き起こします。よく「おなかの風邪」と呼ばれるものはこのノロウイルスによる感染症が含まれているようです。発熱はインフルエンザのようには高くならず、38℃程度です。
症状は2〜3日で治まりますが、免疫力がない乳児やお年寄りでは重症化し、死亡することもあります。今年も病院や高齢者施設での集団感染で亡くなる人が出ています。
感染源はかき、あさり、しじみなどの二枚貝で、ヒトが生食したとき、あるいは加熱が不十分なまま食べたときに小腸で増殖して、下痢を起こします。また感染者が調理した食べ物、ウイルスが流れ込んだ井戸水などでも感染します。ヒトからヒトへ飛沫感染することも確認されています。
今シーズンの流行では、さらに便や嘔吐物のそばにいたとき、処理をしたときの飛沫が口に入って、あるいは乾いた便や嘔吐物から飛んだウイルスを吸い込むことによって二次感染を起こしているケースが多いようです。症状がなくなっても1週間程度は便にウイルスが出ているので、注意が必要です。
便や嘔吐物は下水へ流されますが、水が浄化処理されるときに死滅しなかったウイルスが河川から海へ出て、また二枚貝に蓄積します。こうした感染のループができているため、感染がなくならないのです。
また、ノロウイルスには種類があり、何度も感染を起こすこと、さらには感染しても症状が出ず、感染源になることもあるため、やっかいなのです。
今のところ感染して胃腸炎を起こすのはヒトだけのようで、実験動物や培養細胞に感染しないため、研究が進みにくい一面があります。
次回は診断や治療、予防について詳しくお伝えします。
お酒を飲む季節、肝臓のダメージが気になる人が頼りたくなるのがウコンですね。
ウコンはショウガ科の植物で、日本には平安時代中期に中国から伝わったとされています。ウコンという名前がつく植物はいくつかありますが、正式にはアキウコンをさします。
カレー粉に入っているターメリックと同じで、その主成分がクルクミンという色素です。ウコンの粉はスパイスとして、またクルクミンは黄色い色をつける食品添加物として、カレー、マスタードや和辛子、マーガリン、たくわんなどに使われています。ウコン色素と表示されていることもあります。
ウコンやクルクミンは肝臓によい、抗酸化作用が強く、がんを防ぐなどといわれますが、ヒトでの効果や安全性を確認した研究はほとんどないようです。
消化不良には効果があり、ドイツではアキウコンを消化機能が落ちたときに使うことが認められています。
動物実験では、LDLコレステロールの酸化抑制、抗出血、健胃、利尿、抗炎症などさまざまな作用が報告されています。
胃潰瘍や胃酸過多の人が使うのは避けるべき、胆石の人は医師と相談すべきとされています。また、大量に長期間摂ると消化管障害が起きることがあるので、注意が必要です。子宮を刺激する作用もあり、妊婦さんが大量に摂るのは危険であると考えられています。
スパイスとして、あるいはお茶として日常ふつうに摂取している分には問題はありません。
ウコンを飲んでいるからお酒をたくさん飲んでも肝臓は大丈夫、などと過信をしないほうが無難ですね。











