VOL.73の一般血液検査に続き、今回から2回に分けて、血液生化学検査について取り上げます。
血液は血球(赤血球、白血球、血小板)と血漿(血清と血液凝固成分)に分けられます。一般血液検査が血球部分を調べるのに対し、血液生化学検査は、血漿から血液凝固成分を除いた血清を化学的に分析・検査するものです。
血清は約90%が水分で、血清タンパク質(アルブミン、グロブリンなど)、血清酵素(GOT、GPT、γ-GTP、アルカリ性フォスファターゼなど)、脂質(コレステロール・中性脂肪など)、ホルモン(インスリン、甲状腺ホルモンなど)、電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、リンなど水に溶けるミネラル)など、人間が生きていくうえで必要不可欠な成分が含まれています。
血清は全身の健康状態を反映しているため、血清成分の検査は、肝臓、腎臓などの臓器の機能のチェック、心臓病、糖尿病などの診断や治療の判定、病状の経過観察には欠かせません。
一般に定期健康診断では下記の項目の検査が行われています。(注:各検査項目の基準値は検査施設によって異なる場合があります。)
- GOT、GPT(トランスアミラーゼの1種、最近ではそれぞれAST、ALTと呼ばれています)
・ 基準値:GOT(AST)35IU/L以下
GPT(ALT)35IU/L以下・ GOT(AST)は心筋を中心に肝臓、骨格筋に含まれる酵素、GPT(ALT)は、肝臓と腎臓だけに含まれる酵素で、肝障害や心筋梗塞、骨格筋障害の診断に役立ちます。GOTとGPTの比率を調べることで、肝障害の種類を特定することもできます。 - LDH(血清乳酸脱水素酵素)
・ 基準値:210〜420IU/L ・ 心臓、肝臓、腎臓、骨格筋などに多く含まれる酵素で、低値の場合は問題ありませんが、高値を示す場合は、肝炎、肝硬変などの肝障害のほか、心筋梗塞、骨格筋障害、貧血、がんなど、さまざまな臓器の異常の可能性があります。 - ALP(アルカリ性フォスファターゼ)
・ 基準値:80〜260IU/L ・ 肝臓、胆管、骨、腸管などに含まれる酵素で、肝臓や胆道系、骨などの異常あるいは甲状腺機能亢進症などを調べる場合に、GOTやGPTと組み合せて検査します。 - γ-GTP(ガンマ・グルタミールトランスペプチターゼ)
・ 基準値:55IU/L ・ 肝臓、腎臓、すい臓などに含まれ、アミノ酸の代謝に関係する酵素です。肝臓の細胞が壊れた場合、結石によって胆管が詰った場合などに高い値を示します。とくにアルコールの飲みすぎによるアルコール性肝障害の診断に役立つので、一般に広く知られるようになってきました。 - 血清総タンパク(TP、トータルプロテイン)
・ 基準値:6.5〜8.0g/dL ・ 血清中には、いろいろな種類のタンパク質が含まれており、かつては栄養の摂取状態を調べるために調べられていましたが、現在では主に腎臓や肝臓の機能を調べるために行われます。 ・ 血清に含まれるタンパク質には、アルブミン、グロブリンなどがあり、グロブリンはさらにα1−グロブリン、α2−グロブリン、β−グロブリン、γ−グロブリンの4種類があります。血清総タンパクの検査で異常が見られた場合は、タンパク質の種類を詳しく分析する「タンパク分画」で調べる必要があります。アルブミンとグロブリンの比率を表したものが次の「A/G比」で、A/G比以外に、5種類のタンパク質に分けてその量を調べることにより、急性肝炎、肝硬変、膠原病、ネフローゼ症候群、急性・慢性感染症、心筋梗塞、骨髄腫などの病気を診断します。 - A/G比(アルブミン/グロブリン比)
・ 基準値:1.0〜2.0 ・ 血清タンパクのうち、アルブミンとグロブリンの量の比率を表したものです。血清総タンパク4.0g/dL以下の場合は、A/G比も低い値を示し、急性肝炎や肝硬変などの肝障害が疑われます。逆に、血清総タンパクが高く、それと同時にA/G比が高い場合は、骨髄炎やグロブリン血症などの病気が考えられます。 ・ A/G比を継続的に測定し、その低下の程度を見ることにより、病気の重症度がわかります。
次回は、血液生化学検査のうち、総コレステロール、HDL−コレステロール、中性脂肪、尿素窒素、尿酸などをお話します。
先週、ボジョレー・ヌーヴォーが解禁になりましたね。ボジョレー・ヌーヴォーはフランス南東部のワインの産地でできる新酒で、各国の現地時間の毎年11月第3木曜日午前0時に一般への販売が解禁されます。この話題が毎年のニュースになるほど、赤ワインは日本人の食生活にすっかりなじみました。
赤ワインにはフラボノール類、カテキン類、タンニン類、アントシアニン類、シンプルフェノール類、ヒドロキシ安息香酸、シリンガ酸といったポリフェノールが多く含まれています。ポリフェノールは強い抗酸化作用を持っています。
白ワインに比べてポリフェノールが多いのは、赤ワインは赤黒いブドウの皮や種を原料として使うのに対し、白ワインは白いブドウを皮ごと使うか、皮をむいて使うためです。ブドウの皮の色素や渋味の成分がポリフェノールともいえますね。
赤ワインに関してはフレンチ・パラドックスといわれる現象が知られています。フランス人は脂肪の多い食事を好むにもかかわらず、周辺のヨーロッパ各国に比べて心臓病による死亡率が低いという現象です。
これは日常的にポリフェノールを含む赤ワインを飲んでいることが影響していると考えられています。
ただ、一方で、この効果はフランス人が野菜や果物を多く摂るためという説もあり、赤ワインのみの結果ではなさそうです。
もともと日本ではフランスよりも心臓病の死亡率が低く、また、アメリカのデータでは適量の飲酒はそれぞれ動脈硬化を予防すると報告されているため、赤ワインだけを選んで飲む必要はないとされています。
赤ワインに限らず、適量のアルコールは善玉のHDLコレステロールを上昇させ、心臓病のリスクを減らします。逆にアルコールを長期間大量に飲むと、高血圧や心筋症などが進行しますから要注意です。
1日のアルコールの適量は、ほかのアルコール類は飲まないという条件で、赤ワイン1〜2杯まで。週1〜2回の休肝日を設けることが必要です。











