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vol.066 健康編 体のしくみ 肝臓は人体で最大の臓器です。肝臓の働き
多彩な働き、肝臓

沈黙の臓器といわれる肝臓。心臓や肺、胃などと違って、痛くなることもないので、どこにあるかも忘れてしまいそうです。

肝臓は人体で最大の臓器で、右上腹部のほとんどの部分が肝臓にあたり、一部は左上腹部にまで及んでいます。重さは成人で約1.2〜1.4kgほどで、色はまさに豚肉などのレバーのような暗赤色です。
毎分流れる血液量は約1〜1.8リットルで、これは心臓からの拍動によって押し出される血液量の約4分の1にもなります。

その働きは以下のように多彩です。

  • 1日に500〜600ml程度の胆汁を作って分泌する(作られた胆汁は胆嚢に蓄えられ、胃からきた食物を十二指腸で中和したり、脂肪分解酵素リパーゼの作用を助ける)
  • グリコーゲンを貯蔵し、必要に応じて血液中に放出して、血糖を調整する
  • タンパク質、タンパク質を作る最小単位であるアミノ酸、中性脂肪などの脂肪を合成したり、分解したり、貯蔵したりする
  • ビタミン類の形を変えて貯蔵する
  • アンモニアや使わないホルモンを処理する
  • アルコールや薬を分解する
  • 血液を貯蔵して血液量を調節する
  • 血液中の血漿タンパク質(アルブミンなど)を合成する
  • 古くなった赤血球を壊し、そこから出た鉄を貯蔵する
  • 抗体を作る など
人体に欠かせない肝臓を大切に

肝臓は手術で5分の1近くを切除しても元の大きさにもどります。それだけ人体には大切だからこそ、復元力が備えられていると考えられますね。
いろいろな物質が通る肝臓の中は免疫システムも強固に作られています。もともと特殊な貪食細胞(マクロファージ)がたくさんあり、異物が来たら食べられるように警戒していますし、樹状細胞やリンパ球も常に巡回しているのです。
よく聞く脂肪肝は肝臓に中性脂肪が増えた状態です。原因は肥満、食べ過ぎ、アルコールの摂りすぎ、糖尿病などがほとんどで、薬や妊娠がきっかけになる人もいます。

自覚症状はほとんどなく、高度の脂肪肝になると黄だんや腹部の痛み、倦怠感などが出てくることもあります。脂肪肝が進み、アルコールなどで細胞が何度も傷つけられると肝細胞が硬くなり、肝硬変になります。そうなると、肝臓が本来の働きをすることができず、全身に影響が出るのです。

ガチョウや鴨の肝臓を肥大させたフォアグラはこれらの鳥を人工的に脂肪肝にしたものです。フォアグラは美味ですが、自分の肝臓がフォアグラ状態になるのはいただけません。

食べ過ぎない、アルコールを控える、肥満にならないといった生活上の注意で、大切な肝臓を守りましょう。

食材編 ハーブ・調味料・香辛料類 塩 人体や生活に欠かせない塩
古くから生活に欠かせない、塩

かつては海が遠いところ、交通が不便なところでは、塩は大変な貴重品でした。上杉謙信が武田信玄に戦いの最中に塩を送ったエピソードから生まれた「敵に塩を送る」という表現があることからも、塩がいかに人体や生活に欠かせないものであったかがわかります。

塩を得るのは大変なことで、日本では昔は海藻を焼いた灰(灰塩)を利用していたようです。そのうち、海藻に付いた塩を乾燥させ、さらに海水をかけて塩分濃度の濃い塩水(かん水)にして煮詰める方法(藻塩焼き)になりました。江戸時代からは潮の干満を利用して塩浜に海水を流す入浜式塩田が広まりました。現在ではイオン交換膜にイオンとなっている塩分を通し、得たかん水を真空状態の缶に入れて蒸発させる方法が採られています。日本で消費される900tの塩のうち、食用は15%で、残りはソーダ工業などで使われています。

世界では、陸に閉じ込められた海水が結晶した岩塩や塩水の湖、海水から1年間に約1億8000t生産されています。岩塩や湖塩がない 日本では塩は海水から作るしかありませんが、世界的に見れば海水から作られるのは4分の1程度なのです。

言葉や信仰とも密接

給料をさす英語のsalaryの語源はラテン語で塩をさすsalです。塩の貴重な時代には給料やボーナスが塩で払われており、塩のsalと値段を意味するアリウムariumが合成されて、ローマ時代には塩を買うための手当てを意味するsalariumとなり、さらにsaralyに変化したといわれています。日本でも平安時代にはやはり塩がボーナスとして使われていたようです。ちなみにサラダsaladのsalやサラミsalami、ソースsauce、ソーセージsausageなども同じ語源といわれています。

また、塩は信仰とも結びつきました。今でも神棚に塩を供える、お墓参りの後、家へ入る前に塩を振りかける、相撲で力士が土俵で塩をまくといった習慣がありますね。昔から塩にはお清め、厄払いといったパワーがあると信じられているのです。

料理店などの玄関先の盛り塩は、中国の皇帝が牛車で女性を訪れるとき、牛が塩をなめようと玄関先に必ず止まったという言い伝えから、お客さんが来るという願いを込めて行われているようです。

大切な塩ですが、摂取しすぎは危険

人体に欠かせない塩(今週のキーワード参照)ですが、食べ過ぎはいけません。日本人は世界でも塩を摂る量が多く、高血圧や胃がんの原因になっていると考えられています。そのため、1日10g未満にすることが推奨されています。

とくに心臓病、腎臓病、高血圧などの病気ではナトリウムの制限が必要になるため、減塩食が必要なのです。

さまざまな作用と用途に

調理に使う塩には、防腐作用をはじめ、水を通しやすく浸透圧作用(例:塩もみ)、酵素の活動を止める作用(例:薄い塩水でりんごの 変色を防ぐ)、タンパク質を溶かす作用(例:小麦粉をこねてグルテンにするとき、すり身を作るとき)、タンパク質の凝固作用(例:焼き魚のふり塩)、細胞を軟らかくする作用(じゃがいもやカリフラワーをゆでるとき)などさまざまな働きがあります。海水の塩分濃度は3%ですから、貝類に砂を吐かせるときなどには3%濃度の塩水を使います。

もちろん調味料としても欠かせません。塩には不思議な特徴があり、お汁粉などにほんの少し加えたり、すいかにかけたりすると甘味を強く感じますが、酸っぱい夏みかんにかけると酸っぱさがやわらぎます。すし飯に塩を加えるのも調味とともに酢の強さをやわらげるからなのです。塩は温度が高いほど感じ方が鈍くなるので、冷たいスープでは塩味は薄めにしましょう。

岩塩や湖塩、海水塩は、含まれるミネラル分などが違うため、味が異なります。大きなスーパーなどでは世界の塩が並んでいます。好みの味を探したり、料理によって使い分けたりするのも楽しいですね。

今週のキーワード
人体の塩分

塩分は細胞の内外の水分の浸透圧を調節したり、筋肉の収縮に使われたりと人体には欠かせない存在です。人間の体重の約6割が水ですが、そのうちの3分の1にあたる細胞外体液(血液や胃液、リンパ液など)に0.9%の濃度で塩分が溶けています。そのため、病気のときなどに水分補給に使われる生理食塩水は、0.9%の濃度に調整されています。これはお吸い物やスープなどの塩分濃度とほぼ同じなのはおもしろいですね。

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