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vol.065 健康編 体のしくみ 食べる意欲である「食欲」です。「食欲」の不思議
カラダが知っている必要な摂取量

人間をはじめ動物は、強制的に食べさせられた後や絶食の後には、自然に体重が正常範囲にもどるまでは食べる量を減らしたり、多めに食 べたりすることが知られています。つまり体に必要な食べ物の量は体が知っているということなのです。ところが、その調節がうまくいか なくなると、太ったりやせたりしてしまいます。このような動物が食べる量の鍵を握っているのが、食べる意欲である「食欲」です。

脳がコントロールする「食欲」

食欲は脳の視床下部にある摂食中枢と満腹中枢でコントロールされ、満腹中枢が摂食中枢の働きを抑える形で制御していると考えられてい ます。

この食欲の中枢に影響を与えるのは、食事で摂るブドウ糖ですが、ほかにも食欲と関係する体内の物質が20以上知られています。食欲を促進させるグレリン(成長ホルモンの分泌を促す物質)、オレキシンやβ-エンドルフィン(ともに脳内の視床下部から分泌される神経伝達物質)、GHRH(成長ホルモン放出ホルモン)、食欲を減退させるレプチン(脂肪から分泌されるホルモン:今週のキーワード参照)、オキシトシン(女性ホルモンの一種で出産のときに多く分泌される)などです。このように数が多いのは、食事ごと、1日ごと、あるいは1年ごとくらいの単位で食べる量を調節しているからと考えられています。

しかし、ブドウ糖と体内物質がどのようなメカニズムで食欲に影響を与えているのかは、すべてわかったわけではありません。これには、

  1. 脂肪組織が脂肪の量のバランスを取るために、シグナルを出して食欲に働きかけている
  2. 胃腸に入った食べ物から出るペプチド(アミノ酸がくっついたもの)が視床下部に届いて食欲を抑制する
  3. 食べ物から分解されてできたブドウ糖の視床下部での利用率が上がると満腹感を感じる
  4. 体温が一定の幅よりも下がると食欲が増進し、上昇すると減退する

といった仮説があります。

料理番組や食べ物のCMを見たとき、おいしそうなにおいをかいだときにも食欲が出ることもありますが、これは食欲が大脳の感覚中枢とも関係しているからです。

食欲は感情と結びついていることを実感したことのある人も多いでしょう。イライラしているときには空腹感とは関係なく食欲が増進しますし、逆に心配事や悲しい出来事があったときには食欲が落ちます。

この感情をコントロールするのは、満腹中枢や摂食中枢のある視床下部のすぐ上の視床です。視床の働きが食欲にも影響を与えているのです。過食症や拒食症では、このような精神的な原因が大きいと考えられています。

食用でわかる、心や体の変調

動物の本能のひとつでもある食欲が異常に増進したり、減退したりするのは、心身に変調が起こっているサインです。例えば、内臓に病気があると食欲が落ちますし、甲状腺機能亢進症や薬の副作用などで食欲が増すこともあります。

健康的な食欲を保つには、規則正しい食事や睡眠、ストレス解消も重要です。

食べ物が胃腸に入ってから、そのサインが食欲の中枢に到達するには数十分かかるといわれています。適切な食事の量で満腹感を得るにはゆっくり食べることが大切なのです。

食べているときの感情は胃腸の働きにも影響します。悲しいときや辛いときには、なるべく気分転換を図って、少しでも明るい雰囲気で食事をしたいものです。少量のお酒で食欲を出すのもいいかもしれません。

また、逆に食欲がありすぎて困るときには、ちょっと深呼吸をして、ほかのことに注意を向けてみます。ほんとうにおなかがすいていないのであれば、数分待てば、食べたい気持ちや食べ物への執着がなくなることもあります。

食材編 野菜・きのこ 青梗菜(チンゲンサイ)ビタミンAやビタミンCが豊富で、カルシウム、カリウム、鉄分も含んでいます。
鮮やかな色が特徴。用途が広い青梗菜

夏にもよく育つ青梗菜(チンゲンサイ)。手頃で食べやすい夏の葉もの野菜として人気がありますね。

キャベツなどと同じアブラナ科の野菜で、結球しない小白菜(パクチョイ)の一種で、4月ごろ、菜の花と似た黄色い花が咲きます。

原産地は中国の揚子江流域、地中海からパキスタンにかけての地域など諸説あります。中国から輸入され、日本では1960年代から栽培が盛んになったようで、日本に根付いた中国野菜の代表格になりました。

栽培が比較的簡単で、早く育つのが特徴です。冬にはハウス栽培のものが流通し、露地栽培のものは4月ごろから夏まで出回ります。最近は生で食べられるサラダ青梗菜も登場しています。

ビタミンAやビタミンCが豊富で、カルシウム、カリウム、鉄分も含んでいます。

買うときには、葉が軟らかく、緑が美しくてつやがあるもの、茎の幅が広く、厚みと張りがあるものを。茎と茎の間に土が入っていることが多いので、1枚ずつはがして、根元をこすりながらよく洗います。

アクがないので下ゆでをする必要がなく、味にもくせがないので、一緒に調理する食材や味付けを選びません。よく使われるのは、炒め物や煮物。中華のクリーム煮や牛乳煮は人気です。おひたしにしたり、麺類に入れたりするのもおいしいですね。

加熱しても煮くずれしにくいのですが、火が通りすぎると葉の色が悪くなります。どうしても葉のほうが先に火が通ってしまうので、茎に十字の切り込みを入れて火の通りをよくしておくといいでしょう。

今週のキーワード
レプチン

1994年に脂肪組織から発見された物質です。レプチンの発見で、それまで体のクッション材や保温材としての役割しか認識されていなかった脂肪組織が分泌物質を出すことが明らかになり、以降、脂肪組織は捉えられ方が変わりました。レプチンの研究はその後、急速に進み、食欲の抑制、エネルギー代謝や糖代謝の促進、血圧の上昇、免疫の調整、生殖機能の維持といった重要な働きをしていること、遺伝子の異常によってレプチンがあまりできず、食欲が亢進して肥満になる人がいることがわかりました。また、肥満になると、レプチン自体が変性して働きが鈍り、肥満に拍車がかかることも知られています。

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