このごろアミノ酸という言葉をよく聞くようになりました。タンパク質の主な構成成分で、タンパク質はアミノ酸の分子が何万個もつながった形になっています。
私たちの体では、筋肉や骨、内臓をはじめ、体内で化学反応を起こさせる酵素、遺伝情報が入っているDNA(デオキシリボ核酸)もアミノ酸からできています。
アミノ酸は免疫などの体の機能を正常に保つのにも不可欠です。また、神経の情報伝達を担うため、集中力を高めるのにも使われます。皮膚の弾力を保つコラーゲンの成分でもあり、水分代謝を改善するといった役割もあります。
筋力、瞬発力、持久力を高めるほか、疲労回復を速めたり、意欲を湧かせたりするため、スポーツ分野のサプリメントとしておなじみになりました。また、医療の現場でも輸液(点滴)や肝硬変などの治療薬として使われています。
食事でタンパク質を摂ったときには、アミノ酸が何百万個つながった状態から、アミノ酸が数個集まったペプチドやひとつずつバラバラなアミノ酸にまで消化されて、初めて吸収されます。
自然界にある80種類ほどのアミノ酸のうち、ヒトが利用しているのは20種類。バリン、ロイシン、イソロイシン、リジン、スレオニン、メチオニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、トリプトファン、アラニン、アルギニン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、システイン、チロシン、アスパラギン、グリシン、セリンで、それぞれが大切な役割を担っています。このうち、最初の9種類は体内で合成できず、食事で摂る必要がある「必須アミノ酸」です。
アミノ酸はふつうは食事から摂れるため、ほとんど不足しません。ただ、ダイエットや欠食などで栄養が偏ったとき、激しい運動で一部のアミノ酸だけが消費されたときなどにはアミノ酸のバランスがくずれることがあります。
必須アミノ酸を上手に摂るには、タンパク源を毎日きちんと食べたいもの。とくに肉や魚、卵、乳製品は必須アミノ酸のバランスがよく、アミノ酸スコア(今週のキーワード参照)も高いのです。
それに加えて、アミノ酸を働かせるのに欠かせないビタミンB群、C、Eも一緒に摂りましょう。ビタミンB群は肉類(とくにレバー)や精製していない穀類、ビタミンCは野菜や果物、ビタミンEはナッツ類、うなぎ、筋子、たらこなどに含まれています。
とはいえ、アミノ酸の摂りすぎにも注意を。過剰になった分は排せつされますが、あまり大量になると腎臓などに負担がかかる可能性があります。アミノ酸どうしの量のバランスがくずれてしまう(アミノ酸インバランス状態)と、どのアミノ酸が不足していなくても、相対的に欠乏したような状態になってしまったと体が錯覚してしまい、かえって免疫の低下や肝機能障害を招くともいわれています。通常の食事からでは特に心配ありませんが、主食と副食を上手に組み合わせることにより効率よく利用(代謝)されます。サプリメントなどで特定のアミノ酸を摂取する場合は、充分に注意が必要です。
なお、アミノ酸のうち、グルタミン酸は昆布などの旨味成分としても知られており、旨味調味料として加工食品によく使われています。また、グリシンやアラニンは甘味があり、バリンやロイシンには苦味があります。食品に含まれているアミノ酸の種類と量がその食品の味に影響を与えているのです。
お寿司や刺し身、お蕎麦に欠かせないわさび。従来から知られていた抗菌・防カビ作用だけでなく、血栓予防やがん転移の抑制の効果もあるのではないかと期待され、注目されています。
学名のWasabi japonica Matum.でわかる通り、わさびは日本原産のアブラナ科の植物です。ちなみにMatumは命名者である植物学者の松村任三(1856〜1928)を表します。
わさびには、沢ワサビ、畑ワサビ、ユリワサビ、アイヌワサビがありますが、食用になるのは沢ワサビと畑ワサビ。この2つは同じ種類ですが、栽培される場所で呼び分けられています。
粉わさびの材料として用いられるワサビダイコンは全く別の植物。西洋ではホースラディッシュと呼ばれ、イギリスではローストビーフの薬味として有名ですね。日本では北海道で栽培されています。
この西洋わさびと区別するために日本のわさびは「本わさび」と呼ばれることがあります。
沢ワサビの名からわかるように、わさびは北海道から屋久島あたりまでの渓谷に自生しており、遠く奈良時代から食用にされてきました。
栽培が始まったのは、1600年ごろで、静岡県の安倍川の上流にある有東木(うとうぎ。現在の静岡市)だったといわれています。
徳川家康が大変気に入り、珍重したとされ、一説には、先端が少しとがった丸っこいハート型の葉が徳川家の家紋の葵の葉に似ているためだったとも。わさびは「山葵」と書くのも、その葉の形から来ています。
その後、伊豆の天城山でも栽培が始まり、今では長野県の安曇野、山口県内などでも栽培が盛んです。いずれも年間を通して水温が15℃前後のきれいな水が一定の流量で流れていて、適度に日差しを遮る樹木がある、わさびの栽培に適した場所。産地のわさび田では2月下旬から4月にかけて小さな白い花が咲くのが見られます。
すりおろして使う根茎は長さ5〜30cm、直径2〜4cmくらいに育ちます。わさびの表面に凸凹した部分がありますが、それは葉柄がついていたところ。わさびは葉柄を落としながら成長するのです。葉や茎にも同じ辛味成分があり、葉はおひたしに、茎はわさび漬けに使われます。また、根から出ているひげ根は練りワサビに入れられます。なお、根茎の辛味は地上部分の成長が止まる秋から冬にかけてのほうが強くなり、また、茎側が辛味が強いのが特徴です。
この辛味の正体は揮発性のアリル芥子油(がいしゆ)。すりおろして細胞が壊れることで、根や茎に含まれる成分シニグリンが酵素ミロシナーゼの働きで分解され、アリル芥子油に変わります。わさびをすりおろすには鮫肌おろしがいいとされるのは、目が細かく、シニグリンがミロシナーゼに多く触れるからです。辛味は揮発性が高く、10分くらいで消えてしまうので、食べる直前にすりおろすようにしましょう。
刺し身を食べるとき、わさびをしょうゆに溶くとせっかくの香りと辛味が楽しめません。刺し身に載せて包んでからしょうゆをつけて食べましょう。そうすると魚介類のくさみを消す効果も上がります。
ステーキ、とろろ、お茶漬けに合うほか、ドレッシングやマヨネーズに加えたり、焼酎のお湯割りや水割りにしたりするのもいいでしょう。
買うときにはみずみずしく、緑色が鮮やかなものを。ぬらした新聞紙に包み、さらにラップに包んで冷蔵庫で保存します。
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国連食糧農業機関(FAO)、世界保健機関(WHO)、国連大学(UNU)によって定義されているもので、理想的な必須アミノ酸の組成に対し、ある食品がどのくらい満たしているかを示す数値です。理想は100で、100に近いほど必須アミノ酸のバランスがよく、100未満のものを制限アミノ酸、そのうち最も低いものを第一制限アミノ酸といいます。 ある食品のアミノ酸全体の働きは第一制限アミノ酸のレベルに制限されてしまいます。つまり一番下のレベルに合わされてしまうのです。例えば、精白米は65、小麦粉は44でリジンが第一制限アミノ酸となり、ピーマンとじゃがいもは68とともにロイシンが第一制限アミノ酸です。一方、肉や魚、卵、大豆、乳製品は100。アミノ酸を上手に摂るにはさまざまな食材を使い、主食と主菜、副菜を揃えるようにするのがおすすめです。 |











