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vol.051 健康編 栄養素 体温を維持したり、筋肉を動かしたりするために必要な糖質 過不足なく摂りたい糖質
体に不可欠な糖質とその種類

糖質はタンパク質、脂質とともに三大栄養素のひとつで、体に不可欠な栄養素です。エネルギー源であり、1gで約4kcalのエネルギーに変わります。さらに脂肪を作る材料となり、体温を維持したり、筋肉を動かしたりするためにも使われます。

ほとんどの種類が炭素と水からできており、そのため炭水化物と呼ばれることがあります。

糖質は加水分解でこれ以上分解できない単糖類、単糖が二つつながった二糖類、三つ以上つながった多糖類の三種類に大別されます。単糖類には、果物や野菜に多いブドウ糖(グルコース)と、サトウキビやはちみつにとくに豊富で、糖質で最も甘い果糖があります。二糖類の代表は、果物やサトウキビなどに含まれるショ糖で、砂糖もショ糖のひとつです。また、水あめや甘酒にある麦芽糖、牛乳にある乳糖も二糖類の仲間です。多糖類としては、穀類やイモ類、豆類に含まれるデンプン、動物の筋肉や肝臓、牡蠣などに多いグリコーゲンが挙げられます。オリゴ糖のように単糖類が三個程度つながっているものを少糖類として区別することもあります。

すべての糖質は消化酵素によってブドウ糖やガラクトースなどの単糖類に分解されたうえで、小腸から吸収されます。そして肝臓でグリコーゲンの形で蓄えられ、一部は血液中にブドウ糖の形で入ってエネルギー源として利用されます。ブドウ糖は脳、神経系、赤血球、筋肉などで唯一のエネルギー源。空腹時や運動時には血液中のブドウ糖だけでは不足するため、肝臓に貯蔵されているグリコーゲンが分解されます。

不足も過剰にも注意が必要

ダイエットなどで糖質を制限しすぎると、頭がボーッとしたり、疲れやすくなったりします。また、頭痛、下痢、筋肉のけいれん等が起こりやすくなります。さらに、タンパク質や脂肪が分解されてエネルギー源として使われてしまう結果、ケトン体という物質が体内にたまりやすくなります。ケトン体がたまりすぎると悪心、嘔吐、腹痛などの消化器症状がおこり、ひどい場合は意識障害をきたすこともありますので注意が必要です。

逆に、摂りすぎると肝臓や筋肉に中性脂肪として蓄えられ、さらには脂肪組織にたまって肥満や高脂血症、糖尿病を招きます。

体のためにもバランスの良い摂取を

ふだん私たちがよく摂る糖質はデンプンとショ糖。ブドウ糖や果糖、ショ糖は甘味を感じますが、デンプンは分子が大きく水にも溶けないため、甘味が薄くしか感じられません。しかし、よくかむと唾液で麦芽糖に分解されて甘くなります。

同じデンプンでも細かいほど吸収が速いため、一般に粒状であるご飯よりも粉からできているパンや麺類のほうが血糖値(今週のキーワード参照)を速く上昇させます(ただし、一緒に摂る食品の影響も受けます)。また、運動や仕事でエネルギーをたくさん使った後や低血糖状態のときには、吸収の速い単糖類を多く含む果物や甘いお菓子のほうがデンプンよりも有効ですが、いつも食べ過ぎていると血糖を下げるインスリンの分泌や効きがうまくいかず、糖尿病を招くことも。ダイエットではご飯やパンを減らすよりも、お菓子や清涼飲料水を減らすことがポイントですね。

糖質をエネルギーにするにはビタミンB1が必要です。玄米や胚芽米はデンプンとともにビタミンB1が多いので、糖質としてはおすすめです。

1日の三大栄養素のバランスは糖質60%、タンパク質15%、脂質25%がよいとされています。

食材編 ハーブ・調味料・香辛料類 砂糖 飲み物、お菓子や料理に重宝される砂糖
さまざまな製造方法と用途をもつ砂糖

砂糖は植物の炭水化物であるショ糖を製品化したもの。最初に製造法が発見されたのは紀元前400年ごろのインドで、南太平洋から伝わったサトウキビが使われたと考えられています。現在では、砂糖全体の約四分の三はサトウキビから作られ、ほかに甜菜(てんさい)やメープルなどからも抽出されています。

製造方法からは、含蜜糖(黒砂糖、赤砂糖、白下糖、再製糖、和三盆糖)と分蜜糖(耕地白糖、粗糖)に二分されます。分蜜糖は、植物から採れた液糖を遠心分離器にかけ、結晶のみを取り出したもの。粗糖から最初に取れる結晶は無色で上白糖や白ざら糖になり、さらに残った液を加熱して結晶を取ると中ざら糖になります。耕地白糖は甜菜などから直接作られる白砂糖で糖度98度以上の白砂糖で、植物が採れた土地で作られることからこの名がついたようです。

ふだん私たちが使うのは、粗糖から作られる精製糖のざらめ糖(白ざら糖、中ざら糖、グラニュー糖)、車糖(上白糖、中白糖、三温糖)、加工糖(氷砂糖、角砂糖、顆粒状糖、粉砂糖)、液糖です。

上白糖は最もよく使われている砂糖で、ソフトな風味としっとりした性状が特徴です。このしっとり感はショ糖の結晶に振りかけられている転化糖液(グラニュー糖から作られる果糖とブドウ糖の混合物、還元糖ともいう)によります。

グラニュー糖は上白糖より大きい0.2〜0.7mmの結晶で、ショ糖の純度は99.8%以上。淡白な甘味と溶けやすさからコーヒーや紅茶などの飲み物のほか、お菓子や料理にも重宝されます。

結晶がグラニュー糖より大きい白ざら糖は無色透明で、99.5%がショ糖です。家庭で使われることは少なく、クッキーや高級和菓子などの製造に使われています。

打ち菓子、落雁などの高級和菓子に使われている和三盆糖は徳島県と香川県で作られています。原料はサトウキビから作った白下糖。布に包んで重石をかけて圧搾し、水でさらすという工程を手作業で繰り返した後、冬の冷たい風に当てて乾燥させます。口の中でホロリとほどける食感は魅力です。

黒砂糖はかりんとうや羊羹などのお菓子、黒蜜や佃煮に使われていておなじみですね。サトウキビの茎を搾り、その汁に石灰乳を加えて中和します。加熱して濃縮し、こして不純物を取り除き、固めたら出来上がり。精製しないで直接搾り汁から作るために、サトウキビの原産地でないと作れず、今も昔も沖縄と鹿児島の名産です。ショ糖の純度は73〜86%と低く、ほかに還元糖、カルシウムやリン、鉄、ナト リウムといったミネラルが含まれています。

砂糖の効果

砂糖は防腐性、保湿性があり、ジャムやシロップ漬け、お菓子、すし飯ではその性質が生かされています。また、果実酒に入れる砂糖は水分の浸透圧によって果物から甘味が抜けるのを防ぎます。水溶性、抗酸化性、結晶性などの作用も知られています。また、タンパク質の固まる温度を高くする性質もあり、卵料理に使うとふっくらと仕上がります。干ししいたけをもどしたいときや煮物にだしをしみ込ませたいとき、ほんの少量の砂糖を加えると、砂糖が水分を中に導くのでスピードアップできます。

甘煮を作るときには、何回かに分けて入れましょう。一度に入れると素材の水分が抜け、煮汁が固まりやすくなります。また、塩やしょうゆとともに使うときには砂糖を先に。塩分はタンパク質を固くするため、先に砂糖を入れないと味がしみ込みにくいのです。

砂糖が含まれる甘いものを食べた後には脳がリラックスし、快感ホルモンであるエンドルフィンが出ることが知られています。お菓子とお茶で楽しむティータイムや食後のデザートは、体だけでなく、心にもエネルギーを与えてくれます。もちろん摂り過ぎは肥満や糖尿病のもと。砂糖とは上手におつきあいしたいですね。

今週のキーワード
血糖値

血糖値は血液中に含まれるブドウ糖の濃度で、その値は食事によって上下します。空腹時血糖値は70〜110mg/dl、食後血糖値は160mg/dl以下が標準です。食後に血糖値が上がると膵臓からインスリンが分泌され、ブドウ糖を細胞に取り込ませたり、肝臓に蓄えさせたりします。インスリンの分泌量が少ない、分泌のタイミングが遅い、あるいは細胞に効きにくい場合には血糖値が高いままになり、血液中のタンパク質に糖がくっついて悪影響を及ぼします。これが糖尿病の始まりです。逆に血糖値が下がりすぎていると血糖値を上げるグルカゴンなどが分泌されます。

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