スローフードという言葉をよく聞くようになりました。これはスローフード協会というNPO(Non Profit Organizations;特定非営利活動団体)の運動がきっかけで広がった言葉です。
スローフード協会の結成は、1989年。その少し前、1986年にイタリア北部にあるピエモンテ州の小さな町ブラで、食文化雑誌『ゴーラ』の編集者カルロ・ペトリーニが作った美食の会が前身です。スローフード協会が誕生した1989年には、観光地として世界的に有名なローマのスペイン広場にマクドナルドのイタリア第1号店が開店し、話題になっていました。これが美食の会でも話題となり、誰かが“ファストフード”の逆の意味で“スローフード”と言ったことから、この言葉が生まれたのです。そして、パリでの最初の総会で『スローフード宣言』が採択され、会の名称も変わりました。
スローフード協会の指針は、
- 伝統的な食材や料理、質のよい食品、酒を守る
- 質のよい素材を提供する小規模の生産者を守る
- 子どもたちを含め、消費者に味の教育を進める
の3つです。
また、スローフード協会の言う“スローフード”とは、
- その土地の産物
- すぐれた素材
- その土地の風習にあった生産法
- その土地に活気を与え、郷土の社会性を高める食品
をさします。
スローフードは単にファストフード反対ということではなく、時間の価値を認め、生物の多様性や食に関する伝統技術と知識を守っていこうという運動で、かたつむりをシンボルマークに、グローバル化、スピード化、コンピューター化される生活を食事から見直してみようと呼びかけています。
また、最近米国で発表された疫学研究によると、18〜30歳の男女3031人を、15年間経過観察した結果、ファストフードに行く頻度が多い人ほど、将来肥満や糖尿病になりやすいとが明らかになり、ファストフードを避ける食生活の重要性が指摘されています。
このスローフード協会の主張は世界で賛同され、スローフード協会の会員は現在は50カ国の8万3000人に及んでいます。日本にもたくさんの支部があります。
協会では季刊誌やガイドブックの発行、食材の紹介、学校での食育、スローフード・アワードの表彰などを行っています。
日本でも、その土地で得られる特徴ある野菜や魚などの食材とそれを生かした郷土料理が見直されています。日本酒や焼酎がブームになるのも延長線上にあるのかもしれませんね。
見た目はさつま芋そっくりだけど、梨のように甘くシャリシャリしていて生で食べられる野菜、ヤーコンをご存じですか。
ヤーコンは南米アンデスの原産で、キク科キクイモの多年生草木。ダリアの親戚です。1株につき10〜20個できる芋は食用に、地下茎は苗になります。この芋は白からオレンジ色で、古代インカでは果物として扱われ、「ヤーコン」とは果物の意味であるといわれています。
地上では葉茎が人の身長くらいまで伸び、若葉は野菜として、成長した葉はお茶として用いられます。
日本では4〜5月に苗を植えますが、夏の暑さは苦手。10月以降から芋がよく成長して200gくらいになり、11〜12月ごろに収穫されます。晩秋から初冬にかけて、ひまわりに似た花が咲きます。
ヤーコンは腸内の善玉細菌であるビフィズス菌のえさであるフラクトオリゴ糖(今週のキーワード参照)を多く含むため、便通をよくします。また、抗酸化作用のあるポリフェノールも赤ワインと同じくらいあるのが特徴です。ほかにもカリウムやカルシウムのようなミネラル、食物繊維も含んでいます。デンプンがないため、低カロリーなのもうれしいところです。
生のままのジュースにするほか、短冊状にスライスしてサラダやコールスロー、酢の物にするのがおすすめです。みそ汁の具、きんぴらのような油炒め、天ぷらやフライ、煮物、おでんの種にするのも美味。塩漬けやみそ漬け、辛子漬けもできます。
薄い表皮の下ある白い部分が苦く、またアクが出やすいので、ここもむいてしまいます。切ったら水や酢水にさらすか、さっと熱湯でゆでるといいでしょう。
掘りたてでは甘味が薄く、皮のあたりは苦味が強いのですが、1週間ほど置くとフラクトオリゴ糖が分解してできた糖によりかなり甘くなります。フラクトオリゴ糖を摂りたいならば低温で保存し、早めに食べること。少し水をつけてポリ袋に入れるなどして、乾燥しを防ぎます。大量に手に入った場合は土に埋めるといいでしょう。











