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vol.036 健康編 生活 噛む効用−噛むことは健康に直結しています
卑弥呼の歯がいーぜ

歯が痛いとき、よほど硬い物を食べたとき以外、噛むことはふだんほとんど意識することはないのではないでしょうか。

噛むことは実は密接に健康と結びついていることがわかってきました。
日本咀嚼学会が作ったキャッチフレーズ「卑弥呼の歯がいーぜ」はよく噛むことの大切さを表しています。

ひ:肥満の防止
ゆっくり噛んで食べることで脳の満腹中枢に情報が伝わり、食欲が抑えられて食べ過ぎを防ぎます。よく噛むことはダイエットの第一歩です。

み:味覚の発達
よく噛むと素材の味や歯ごたえがよくわかります。とくに硬いものは噛みしめているうちにうまみが出てくることが多いのです。噛むことが味覚を発達させ、おいしさの経験値を高めます。

こ:言葉の発達
噛むことによって、あごや歯が丈夫になり、口の周りの筋肉も発達して、言葉の発音が明瞭になります。また、顔の筋肉もよく動いて表情が豊かになります。

の:脳の発達
よく噛むと脳の血流量が増すことが医学的にわかっています。噛む機能(残っている歯の数、義歯を使っているかどうか、噛みしめる力など)が認知症の発症と関係しているというデータがあります。また、歯を抜くと記憶力が衰えることもわかっています。スポーツ選手がガムを噛んでリラックスしたり、集中力を高めたりしていることからも脳と噛むことの関係がよくわかるでしょう。

は:歯の病気予防
噛むことは虫歯や歯周病の予防に大きな役割を果たしています。噛むと唾液の分泌が盛んになり、口の中を洗い流す効果があります。唾液にはリゾチームなど殺菌作用のある酵素が含まれています。また、歯肉や歯槽骨の血行も促進され、いい刺激になります。

が:がんの予防
唾液の中には食物の発がん性を抑える酵素が入っています。よく噛むことはがん予防にもつながるのです。

い:胃腸の働きを促進
噛むことで食べ物を小さくし、唾液と混ぜることで胃での消化や腸での吸収を楽にします。また、胃腸の働きも活発にします。

ぜ:体力の向上や全力投球
噛みしめる力は運動能力ともつながっています。重い物を持ち上げるとき、全力で走るときなど、全身に力が入るときにはしっかり噛みしめることが必要になります。プロスポーツ選手では虫歯治療や歯列矯正が重要視されているのはそのためです。

ただし、単によく噛もうと思ってもなかなか難しいものです。ふだんの食事で噛む回数を増やす工夫をするといいでしょう。

・食材を大きく切る
少し大きめに切るのが噛む回数を増やすコツ。千切りよりは乱切りのほうが当然噛む回数が増えます。

・噛みごたえのある食材を使う
たくあんなどの漬け物、にんじんやセロリ、れんこんのように繊維が多い野菜、みりん干しやするめなどの干物、切り干し大根、きくらげ、かんぴょうなどの乾物、わかめや昆布、ひじきなどの海藻、枝豆やゆで大豆などの豆類を積極的に食卓に載せましょう。これらの食材を軟らかい食べ物に混ぜるのも効果があります。

よく噛むためには歯や歯肉がしっかりしていることも必要です。歯の手入れも欠かせませんね。また、なるべく左右均等に噛むことも大切です。

ふだんから噛むこと、歯やあごの健康をちょっと気にかけることが健康につながります。

食材編 果実・種実 温州みかん 日本の果物の王様、温州みかん
世界中で人気の「satsuma orange」

「こたつでみかん」は昭和40年代までは冬の家族団らんの象徴でした。そのころにはみかんは年間400万トン生産されていましたが、現在の生産量は100万トン前後になりました。それでも1世帯当たりの果物の年間購入量を見ると最も食べられている果物は温州みかん。
りんごやいちごやバナナよりも多く食べられているのです。

果皮が薄くて食べるのにナイフが要らず、種もなくて食べやすい温州みかんは、海外での人気が高まっており、とくにカナダへの輸出が増えています、また、北米やスペインでも作られているのです。

ちなみに温州みかんは英語で「satsuma orange」と言います。遣唐使によってもたらされた種が400〜500万年前に鹿児島県の長島で偶然に発芽し、種がない独自の品種になったと考えられています。そこからこの名前がつきました。温州みかんの「温州」は中国の逝江省のみかんの大生産地である温州にあやかって付けられたといわれています。

ビタミンCが豊富です

温州みかんをたくさん食べると手が黄色くなるのは、体に吸収されたカロチノイドの色が見えているから。温州みかんに含まれているカロチノイドにはβ-カロテンなどの種類がありますが、中でも最近は抗がん作用があるのではないかといわれているβ-クリプトキサンチン(今週のキーワード参照)が注目されています。

また、ビタミンCが豊富で、ビタミンCの1日の推奨量(12歳以上は100mg)の3分の1を温州みかん1個で摂ることができます。
また、生で食べるため、加熱や調理による損失がないのも利点です。
ビタミンCは抗酸化力が強く、動脈硬化やシミ、しわの予防に役立つなど、体内でさまざまな働きをしています。

温州みかんだけに含まれているシネフィリンは風邪を防ぐといわれ、ヘスペリジンには毛細血管を強くする作用があります。ほかにも血圧を上げない働きがあるカリウム、整腸作用を持つ食物繊維、疲労回復に役立ち、カルシウムの吸収を高めるクエン酸などの有効成分も含まれています。

みかんの果肉を包んでいる白い皮の袋は「じょうのう」と呼びます。
このじょうのうは意外にも食物繊維や毛細血管を強くするルチンが含まれ、健康増進効果があります。みかんの薄皮は一緒に食べるのがおすすめです。

民間療法では、主に皮を使用し、漢方でも皮を日干しにした「陳皮」を煎じて飲むと咳、風邪、健胃に効くとされています。じょうのうについている筋にも咳止めの効果があるともいわれます。

おいしいみかんの選び方

おいしいみかんは扁平で、皮がしっとりしているのが特徴。あまり大きすぎず、皮は適度に柔らかく実がしまっているもの、さらにヘタが小さく、ヘタの周囲まで熟しているものを選びましょう。冬の温州みかんは皮が鮮やかな橙色、夏に出回る早生は緑色のきれいなものがおすすめです。

みかんは皮を通して呼吸しているので、風通しのいい涼しい場所で保存します。箱で買った場合にはふたを開けておきます。上手に保存すれば1ヵ月くらいもちます。

網やフライパンで焼きみかんにすると風邪にいいともいわれます。また、冷凍みかんもおいしいもの。オレンジの替わりに肉料理や魚料理のソースに使うと、さわやかな香りが臭みを消してくれます。

食べ終わった後の皮でみかん風呂にするのはいかがですか。
みかんの皮をさっと水洗いし、刻んだりちぎったりして風通しのいいところに3日ほど干します。その皮を布袋に入れるか、タオルやガーゼで包んでお風呂に入れるのです。皮からほどよく油が出ますし、さら湯よりも温まります。香りもうれしいですね。
ただし、皮膚の過敏な方は避けてください。

今週のキーワード
β-クリプトキサンチン

β-クリプトキサンチンはカロチノイドの一種で、温州みかん1個に1〜2mg含まれています。その量は輸入オレンジの数十倍。動物実験から導かれた発がん抑制効果はβ-カロテンの約5倍。1日2個食べるといいことになります。

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